出合いは10年ほど前。自身のルーツがある香川県・高松市への旅で偶然見かけた菓子木型に、三浦和子さんは魅せられた。
椿や桜、松竹梅、丸鯛、鶴亀、浜千鳥…。 熟練の職人が和菓子のために一彫り一彫り、和の意匠を繊細かつ丁寧に彫り上げた木型は、三浦さんの目に歴史を超えて生きる工芸のように映った。
「もともと美術より、実際に使われる工芸が好きでした。いくつか買い求めた木型を眺めているうちに、自分でお干菓子をつくりたくなった。それがきっかけでした」
和三盆工芸菓子「象東 ZOTO」代表の三浦和子さんはそう話す。
お干菓子とは、主に香川県と徳島県でつくられる、伝統的な砂糖の和三盆を木型で成形した和菓子のこと。 江戸時代から、冠婚葬祭などの行事や茶道の茶事に使われる格の高い甘味として受け継がれてきた。
三浦さんは独学でつくり方を学び、工房を設立。御陽菓詞(おひがし)と命名し、販売を始めた。
だが、高級品である和三盆でつくる小さな工芸菓子は当初、まったく売れない。
「最初に認めてくださったのは、和三盆の価値と和の食文化を知る料理人の方々でした」
やがて「象東 ZOTO」の御陽菓詞は、本物の和菓子として料亭やホテル、茶道家たちの間に口コミで広がっていく。
そんな中で起きたコロナショック。
改めて気づかされたのは、非日常の希少品だけでなく、日常に寄り添う和菓子のあり方だった。
「和三盆という素晴らしい日本の甘味を身近な日常、地元の人たちにも楽しんでいただけたら」
三浦さんは、和三盆を生かした寒天菓子の創作に夢中になる。そんな中で出合ったのが、シーガルフォーだった。
「和三盆は、日本が誇る食文化。そして寒天菓子は水が命ですから、本当においしい水、本物の水を使わなくてはいけないと思いました」
シーガルフォーの水でつくる寒天と、やはりシーガルフォーの水と和三盆の含蜜糖でつくる蜜がハーモニーを奏でる寒天菓子。
ただ和三盆の甘さを味わうのなら、どんな形でもいい。それが御陽菓詞という造形美、そして寒天菓子の澄んだ姿に結実することに素材と形の不思議、そして本物と本物の出合いを感じる。
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